「アラスカ便り」No.3 東京都写真美術館における写真展の開催中止について 星野直子

2020/9/4

アラスカ便り

写真展「悠久の時を旅する」東京都写真美術館会場中止について

長く続いた猛暑も少し和らいできたように感じられます。皆さまいかがお過ごしでしょうか。コロナウィルスの影響で、今年は私もアラスカに戻ることが叶わず、日本で過ごす時間のなかでアラスカに思いを馳せています。

写真展「悠久の時を旅する」を2020年11月21日より東京都写真美術館にて開催することで準備を進めてきましたが、新型コロナウィルスの感染拡大が続いていることから、開催について関係者で話し合いを重ねました。このような時期だからこそ、星野道夫の写真と文章をお届けできればという思いもありましたが、秋・冬にかけて感染がさらに拡大する懸念があるため、とても残念ですが中止することとなりました。写真展を楽しみに待っていて下さった方々、写真展準備に関わって下さっていた方々には申し訳なく思っています。
今回の東京都写真美術館での開催は中止となってしまいましたが、この写真展は全国を巡回する予定で、数年後には東京に戻ってきます。楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

今、私たちはコロナ禍で先が見えず不安な気持ちを抱えています。星野のエッセイを読み返していて、こんな言葉と出会いました。

「長い目で見れば、人々が今抱えている問題も、次の時代へたどり着くための、通過しなければならない嵐のような気もしてくる。一人の人間の一生が、まっすぐなレールの上をゴールを目指して走るのではないように、人間という種の旅もまた、さまざまな嵐に出会い、風向きを見ながら、手さぐりで進む、ゴールの見えない航海のようなものではないだろうか。」(「ノーザンライツ」-苦悩するグッチンインディアン-より) 

この言葉から、きっと私たちはこの困難を乗り越え前に進んでいくことができる、という勇気をもらいます。

安心してゆっくりと写真展をご覧いただける時期の開催に向け、より深く星野道夫の世界をお伝えできますよう、引き続き準備を進めていきます。会期が決まりましたら改めてお知らせします。

皆さま、どうぞくれぐれもお体お大事にお過ごしください。写真展会場にて笑顔でお会いできますことを心待ちにしています。

2020年9月4日 星野直子
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